世界の揺りかご
一次造作ぶろぐ
弐
――歌が聞こえる
心地よく、高い声
女性だろうか。
その声は、まるで蛍の光のように優しい調べ
オレはゆっくりと、重たい目あけ、
ゆっくりと自分の手を見ると、包帯が巻かれていた
ああ……オレはまだ、生きているのか
ふと優しい歌が、する方向へ
頭をむけた
そこには、女性と思わしき、
後ろ姿があり、縁側に座っていた。漆黒に染まる、長い髪
そして紫色をした、着物と羽織
蛍の大群が女性のまわりを、ゆっくりと光を灯しながら
飛んでいた
歌は、耳に心地よく
まるで、体を癒してくれるように
体に、歌が染み込む
しかし――……この歌と声は優しいが
同時に蛍のように、儚(はかな)いと思ってしまった
その――女性の後ろ姿が
蛍の命は短い、短いのに尊(とうと)く光り、短い命を輝かせる
オレはソレを見て儚く感じる……儚くとも、キレイな命
女性の背中は、まさにソレだった
「……悲しい歌だな……」
ボソリッと吐いたつもりだったのに
思ったより声が、大きかったようで
女性が歌をやめ、顔をこちらにむけた
「お目覚めになりましたか」
微笑みかけた顔も、どこか儚くて――……
女性の顔は、口がホウズキのように赤く、それに映える
雪のように白い肌で、瞳は闇夜のように黒かった
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プロフィール
HN:
結城 レイ
性別:
非公開
職業:
どこぞの学生
趣味:
小物めぐり
自己紹介:
まいぺーす人間
ときに非情。ときに温和。ときに小説を放置。
好きなもの・メロンパン、小物、アンティーク、歌
嫌いなもの・大きな声(イライラします。あは☆←)
勉強、努力すること。
無事に大学にうかり家でだらだら
※ここにある記事の引用、パクリはしないでください。
ときに非情。ときに温和。ときに小説を放置。
好きなもの・メロンパン、小物、アンティーク、歌
嫌いなもの・大きな声(イライラします。あは☆←)
勉強、努力すること。
無事に大学にうかり家でだらだら
※ここにある記事の引用、パクリはしないでください。